郵便受けには何もない。いや、正確にはある。たくさんある。とてつもなく、もう何も入らないくらい詰まっている。今日は何もない。いや、ある。時間がある。吸い込む空気がある。思いつく言葉がある。俺には何もない。私には何もない。僕には何もない。お前は何もねえな。本当に何にもないんだね。やっぱり何もなかった。何もないこともない。だが、ない。紙の表裏のように簡単に翻る。メビウスの輪のように繋がっている。孤独が。寂しさが。詰まっている。お腹の中に。重くて動けない。声が出ない。頭が石のように重い。あの時はどうしてあんなに動いていたのに。どうしてあんなに喋っていたのに。ただじっと待つ。時間が縦から横から進んでいく。ビデオテープを巻き戻すように。巻き戻していた頃を懐かしむように。知らなかった記憶を思い出すように。流していく。舟を漕いでいく。水に浮かんでいく。風が吹いてくる。帆をあげるとさらに早くなる。帆を上げると夜明けがついてくる。いつも同じ。いつも同じ。いつも同じ。
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