一瞬の夢(2月8日)

次の瞬間に、人生はひらいた。ロープをまたいで入ってきた。半月の形に向こうの光が見えてきた。100万年前、街が生まれるはるか昔に、ずっと先を歩いていた人たちと一緒に歩いた。こんなふうに、こんなふうにという言葉もいらないくらい確かにそうだった。粒のひとつひとつがはっきりとして、揺れている波の形を感じることができた。それはあまりにも短く儚い時間だった。一瞬の夢のなかにたくさんのものが詰まっていた。ただ言葉だけがなかった。言葉だけが遅れていた。あいつのことなんて思いつきもしなかった。

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