大学の時までは1.0くらいはあったのに働き出してから一年とたらずで半分になった。これ見えますかと言われても見えるはずはないのになんだか微かに空いているようなかすかな隙間を声で表すが当たっているか間違っているかも教えてくれないでそのままにして数週間後届いた青いファイルを見てみたら0.5と0.6になっていた。どうりでこんなに、なるほどと思った。遠くの文字が霞んでいる。遠くの顔が滲んでいる。向こうの景色がよくわからない。歩いてくる人が誰なのかもわからないまま会釈をしている。標識に書いてあるのが目的地なのかわからないまま従っている。言っていることが正しいのかわからないまま頷いている。相手の気持ちになって考えもしないままただ笑っている。どんどん視力が失われて、背筋も曲がってきたし、腹だって出てきた。どんどん視力が失われて、頭髪も薄くなったし、膝が痛い。どんどん視力が失われて、寝つきが悪くなって傷も治らない。どんどん視力が失われて、誰もやさしくしてくれないし、話してくれない。ぼくのことは見えないのかな。でも、ゆううつになんかならない。夜にはいいことあるんだ。夜にはいいことあるんだ。
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