この現代社会の人間共は、商品を消費するように仕込まれている。消費する権利を得るためには、セッセと働いて稼がにゃならん。つまり、労働ー生産ー消費ー労働ー生産ー消費、という無限の循環の中に巻きこまれて逃れられなくなっているのだ。ダルマ・バムズは、この社会一般の要求を拒否する。消費する必要のないものは、一切消費しない。冷蔵庫だとか、テレビだとか、車だとか、ヘア・オイル、デオドラントだとか、全く要りもしない、ろくでもないがらくたを買いこむために、世間の奴等は汗水たらして働いてる。一週間もすりゃゴミために放り込んでしまうようなつまらないものをどれほど買いこまされてるか考えてみろ。なるほど車なぞは、時によっては、実用の為に必要かも知れぬ。しかし、その目的のためなら、何も新しいぜいたくな車を買う必要はない。古いやつで沢山なのだ。ダルマ・バムズは、こんなガラクタを皆、放り出して出かけるのだ。
おれにはリュックサック大革命のヴィジョンがある。何万人、いや何百万人ものアメリカの若者達が、リュックサックを背に、放浪しはじめるのだ。山へ入って修行し、子供達を喜ばせ、年よりをしあわせにし、若い娘達を嬉しがらせ、年よりの娘達をもっと嬉しがらせて歩きまわるのだ。皆、禅の風狂の精神を学んで、その時その時、とっさに頭に浮んだ句を手帳に書き止めて詩を作っていく。人には親切で、奇行を実践し、それによって無限の自由のヴィジョンを万人に与えつづけていくんだ。(『ザ・ダルマ・バムズ』ジャック・ケルアック、p180)
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