カフカ断片②

いみじくも…

人は世界を外側から理論によってへこませ、勝利することはできる。

しかし、自分もそのへこみに落ちてしまう。

だから、自分と世界を、ただ内側から、静かなままにあるがままに保つ。

以前のわたしは、自分の問いかけになぜ答えが返ってこないのか、不思議だった。

今のわたしは、なぜ問いかけることができると信じていたのか、不思議だ。

いや、信じてなんかいなかった。ただ、問いかけてみただけだ。

道は無限であり、近道することも、遠回りすることもできない。

それなのに、だれもが無邪気に自分のモノサシをあてる。

「やっぱり、これくらいは進まないと。そうすれば、人も認めてくれる」

何もしないことは、あらゆる悪徳の始まりであり、あらゆる美徳の頂点である。

3つのこと-

自分をなにか未知のものとして見つめる

見たものを忘れる

得たものを心にとどめる

あるいは2つだけ、3番目は2番目を含むから

だれかをあざむいてはならない。

この世をあざむいて、勝利を得ようとしてはならない。

求める者は見つけず、求めない者は見つかる。

彼は地上で自由に、そして安全に暮らしている。というのも、彼は鎖につながれていて、その鎖の長さは、彼が地上のどこにでも自由に行けるほど長く、地上の外に連れ出されてしまうほど長くはないからだ。

と同時に、彼は天上でも自由に、そして安全に暮らしている。というのも、同じようにぴったりの長さの天上の鎖につながれているからだ。

したがって、地上におりようとすれば天上の首輪にしめつけられ、天上にのぼろうとすれば地上の首輪にしめつけられる。

にもかかわらず、彼にはあらゆる可能性があり、彼もそれを感じている。いや、それどころか、すべては最初に彼を鎖につないだときの間違いのせいだ、と認めることさえ拒否している。

抑圧されている者たちに対して、特権を持つ者たちは、その責任を果たすと言って配慮してみせるが、しかしその配慮こそ、特権を維持するためのものにほかならないのだ。

家の外に出なければ、などということはない。

机にすわって、耳をすませるのだ。

いや、耳をすませることさえ、してはいけない。

ただ、待っているのだ。

いや、待つことさえ、してはいけない。じっと静かに、ひとりきりでいるのだ。

すると、世界が素顔をのぞかせる。

そうしないではいられないのだ。

おまえの前で、うっとりと身をくねらせる。

コメントを残す